2015.12.05 / メリメロフットサルフェスタ:レポート

『「障がい」のあるなしにかかわらずみんなでサッカーを楽しめる環境を。』


数ヶ月前、ワールドカップアジア予選が日本で開催されたことにより注目されたブラインドサッカーをはじめとする障がい者スポーツ。

世の中では競技用義足が話題となったり、2020年に東京でオリンピック・パラリンピックの開催が決定したりと、少しずつ関心を持たれ始めています。しかし、まだまだ障がい者に対する理解や興味が乏しいのも事実です。

サッカーを通じて障がい者理解、興味喚起し、障がいのあるなしにかかわらずみんなでサッカーを楽しめる場を提供している団体「メリメロ」さん。今回は、メリメロ主催のイベント「メリメロフットサルフェスタ」にて「ディフェンス・アクション」を実施いたしました!

いつもお世話になっているMIFA Football Park にて開催された内容盛り沢山のイベントの全容をご覧ください!


● アンプティサッカー体験

アンプティサッカー。この言葉を聞いたことのある方はいらっしゃいますか?

体験イベントでシュートするアンプティサッカー日本代表選手。初めて見るアンプティサッカーの凄さに周囲から驚きの声があがります。
体験イベントでシュートするアンプティサッカー日本代表選手。初めて見るアンプティサッカーの凄さに周囲から驚きの声があがります。

アンプティサッカーとは、主に上肢、下肢の切断障害を持った選手がプレーするサッカーです。(参考:日本アンプティサッカー協会http://j-afa.com/wp/)プレイヤーは松葉杖クラッチで体を支え、バランスを取りながらボールを蹴ります。7人制で試合は行われ、コートは小学生サッカーとほぼ同等の広さとのこと。

1980年代にアメリカ人の切断障害者であるドン・ベネット氏が偶然ボールを蹴ることによりこの競技を思いつき、以降アメリカ軍負傷兵のリハビリの一環として採用されたことから一気に普及が進んだそうです。

現在日本では全国で約80名のプレイヤーがおり、全国大会も開催される程に。ただ、まだまだ競技人口は少なく練習をするにも一苦労するよう・・・。

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COLOスタッフも初めてのアンプティサッカーにチャレンジ!

            選手の一人は、「トルコでは400人~500人がプロリーグでプレーしておりテレビ放映も毎試合ある。社会的認知度も高くアンプティサッカーでは先進国である。日本ではまだまだ知られていないスポーツだけれども、少しずつこういったイベントで知ってもらいたい」と話されていました。

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イベントの最後にはアンプティサッカーの選手と健常者での試合が行われ、健常者さながらにプレーする選手たちに周囲から声援が送られました!

日本での認知度はまだまだ低いかもしれませんが、一度体験してみればすごさや面白さに気付き、非常に興味が湧くスポーツでした。片足でリフティングして、技まで出来るって本当にすごいですよね! 今後の活動に注目です!


● ブラインドサッカー体験

アンプティサッカーの反対側では、ブラインドサッカー体験が行われていました。ブラインドサッカー協会の方と現役日本代表選手の方が来ており、ブラインドサッカーを体験することができました。

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鈴の入ったボールでデモンストレーションを見せる日本代表選手。目が見えていないとは思えないほど華麗なドリブルからシュートを披露。

にわかに世の中で話題となったブラインドサッカー。体験では多くの人たちがアイマスクを着用し、ブラインドの世界を体験。「ボールの中の鈴の音」と「周囲の声」を頼りにドリブルからシュート。ゴールを目指します。

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参加者の中には聴覚障害を持った参加者も。ブラインドサッカーを体験されていたが、聴覚と視覚が無い中でのプレーはかなり難しい・・・?

「視覚を奪われるだけで、こんなにも思ったようにプレーができないなんて」

「前に進むのが怖くなる・・・」

「耳にかなりの集中力を使うし、周囲の声が本当に助かる!」

といった参加者の声。しかし、そんな新たな発見とともに楽しみながらプレーしている姿がそこにはありました。自分の中のイメージでコートの中を走る、蹴る、プレーする。頼りになるのは周囲の声。絶対的な仲間への信頼関係が無いと出来ないスポーツだと感じました。

最後のシュートを外しても決めても笑顔が自然と生まれる。それは、周囲から眺めている人から見ても、楽しい雰囲気を感じられるものでした!


●防災ワークショップ「ディフェンス・アクション」

そんな体験イベントとフットサルが終わり、いよいよCOLOの防災ワークショップ「ディフェンス・アクション」の時間です!

今回のテーマは「家具転倒防止」。

みなさん、わが家の家具に対して転倒防止できていますか?最近では多くの場所で突っ張り棒を見かけるようになってきましたよね。ただ、全部の場所に対してできていますか?災害時にどのような影響をもたらしているのか知っていますか?

そんな問いかけの答えを、体を動かしながら学んでいきます。

今回はいつもの防災面・サッカー面に加えて、「メリメロ面」も追加した特別アレンジ版にてお届けします!

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参加者を集めてのディフェンス・アクション事前説明。今回はメリメロさん協力の基同時手話通訳と共に説明。

ワークは「手繋ぎドリブルリレークイズ」。

このワークは、参加者同士で3人1組となり、手をつなぎながら進むドリブルリレーです。今回のテーマである「家具転倒防止」に関する問題が出題され、ドリブルをしながら正解のパネルを見つけます。

参加者同士でそれぞれの意見を出し合い、一つの答えを助け合いながら選んでくる。チームワークが不可欠なワークとなっています。まずは参加者を7名~8名の12チームに分け、それぞれのチームで出題された問題に対して回答を考える「シンキングタイム」!

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大人も子供も関係なくみんなで真剣に考えます!出題者の意図を考えてみたり、色々な想像をしながら答えを一つに絞っていきます。

続いて、チーム対抗戦の「手繋ぎリレータイム」!

交代しながら3枚の回答を選んできます。

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障がいのあるなし、初心者、経験者に関わらず参加者全員で協力してプレーします。スピードが重要となるので、事前の作戦会議も大事ですね。

阪神淡路大震災の時には、家屋倒壊・家具転倒が死因になっている人たちが約83%もいらっしゃいました。

事前に災害に対する備えが出来ていれば・・・

家具転倒防止対策が家の中で出来ていれば・・・

そんなことを考え、悔やまれた方も数多くいるのではないでしょうか。

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リレーが終わった後はみんなで答え合わせ!答えが発表される度に盛り上がりを見せました。

今回のディフェンス・アクションでは、チームワークの重要性は不可欠なことながら、災害時における障がい者の方は健常者の方よりも危険度が高いことを相互に理解することも目的として設計をしました。いざという時に助け合える関係を築いておくこと、また事前に理解があることでみんなで防災・減災できたらいいですよね。

そんな気付きを持っていただけたら嬉しいなと思います!

障がいのある方たちや、初心者や子供、関係なくみんなでサッカーを楽しむ。そこには、素直なコミュニケーションが数多く生まれ、いつも以上にアイコンタクトや声、ジェスチャーで真っ直ぐに「伝えよう」とする気持ちがありました。

まだまだマイナースポーツかもしれない障がい者サッカー。ただ「知ること」という一つ目のハードルを超えることが出来れば、理解が深まっていくと感じました。

また一つ、サッカーの持つ力を教えてくれた気がするメリメロフットサルフェスタ。メリメロのみなさん、参加者のみなさん、本当にありがとうございました!

COLOでは、今後も様々なワークショップ、ディフェンス・アクションを通して共助の重要性や防災、減災についての理解を広める活動を継続していきます。

また、新たな「ディフェンス・アクション」も開発中です。今後の活動にご期待ください!

ご拝読ありがとうございました。

 

写真:石川涼子、谷優香、浜田晃
文:浜田晃