==social football SESSION「Jクラブの経営と地域貢献」イベント概要==

日時:2020年6月23日(火)18:30~20:00
ゲスト:久保田 淳さん(FC東京 地域コミュニティ本部長 兼 社会連携推進部長)
岩永 修幸さん(川崎フロンターレ サッカー事業部 施設事業部)
杉原 海太さん(スポーツコンサルタント)
ファシリテーター:津村 翔士(HITOTOWA INC. 執行役員)
主催:social football COLO(HITOTOWA INC.)

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social football COLOは、social football SESSION「Jクラブの経営と地域貢献」を6月23日に開催致しました。

social football COLOは、これまでにもサッカー防災®ディフェンス・アクションや、Jリーグ社会連携プロジェクト「シャレン!」を推進し、JリーグやJクラブと共に事業を行ってきました。

2月末から続いたJリーグですが、緊急事態宣言が解除され、J1リーグは、7月4日(土)、J2・J3リーグは6月27日(土)に再開しました。

Jリーグのある週末を楽しみにしていた方も多いのではないでしょうか。現在は無観客試合での試合開催となっていますが、Jリーグが再開され、今までの日常が戻って来ました。

しかし、競技=サッカーの試合だけがJリーグではありません。日本全国、56にまで広がったJクラブは、各ホームタウンで地域貢献活動をどんな状況でも続けてきました。
Jリーグは発足以来、地域貢献活動の推進を掲げ、各地域でサッカーファン以外の方へもその価値提供を行なっています。

そんなJリーグ・Jクラブを今後も応援したいという気持ちから、
「Jクラブの経営と地域貢献」というテーマで、豪華なゲストを迎えJクラブの中で地域貢献活動が果たしてきた役目、果たすべき役割をについてトークセッションを実施しました。

総勢50名を超える参加者の方々と共に、ホームタウンのような雰囲気で行われた様子を振り返っていきたいと思います。

最初に、海外のサッカークラブとJクラブの地域貢献の比較・違いについてスポーツコンサルティングに携わる杉原海太さんに伺いました。

杉原海太さんから、昭和・平成における日本と欧州のスポーツを取り巻く環境変化の歴史についてお話していただきました。

日本のスポーツは元々、企業がオーナーシップを持つプロスポーツ(プロ野球)や日本リーグ時代のサッカーに代表されるような「企業内の部活動」など、企業が中心となって発展してきました。

一方欧州は地域がオーナーシップを持つスポーツのあり方、つまり地域の中にスポーツクラブがあるということが当たり前でした。ロサンゼルスオリンピック辺りから、広告価値・エンタメ価値のマネタイズによるスポーツのビジネス化が進み、更に21世紀になると一般社会のグローバル化の進展と呼応する形でスポーツもグローバルビジネスとして巨大産業になりました。

日本でもJリーグの誕生とともに、企業中心のスポーツが、地域密着を掲げ、地域に根付く活動、つまり、よりローカルコミュニティを意識した取り組みが始まりました。平成の30年間はまさにスポーツクラブが地域に根付いていく時代でした。

そういった整理から、Jリーグも欧州サッカーもともに発展して来たことは疑いがないけれども、その発展の方向性は全く異なっていて、「元々地域に密着していたスポーツ」がその後ビジネス化していった欧州に比べ、企業が主体となって発展した後にスポーツが根付いていない地域に「密着しようと努力」してきた日本。その「密着しようと努力」する過程において、ユニークな地域密着活動が幾つも生み出されており、それは他の国と比べても差別化要因・優位性になりうる、と力強いお話をいただきました。

久保田淳さんのお話は、サッカーを通した地域社会の発展や、「強く愛されるチームを目指す」というF C東京の理念から始まりました。「当初は、FC東京と地域との関係性から始まっていった地域貢献活動でしたが、FC東京は地域の外側に存在するのではなく、そもそも地域の中に存在する、そして地域とは何か?と考えると、そこにいる人ひとり一人だと。

商工会や市役所といった人の集まりひとつ一つと関係性を築いていく。そういった関係性は最初は点と点だったが、長く活動を続けてきたことによって、線になり、面になり、さらに深みを増して立体になっていく、そんなつながりを作ってきました。

そして、その中からFC東京だからできること、FC東京にしかできないことを意識して活動を行なっている。その結果として、FC東京が地域にとって「なくてはならない存在」になり、街に「笑顔」を増やすこと、を実現したい。

そして、将来的にはFC東京を介して、さまざまな社会問題に対して、関心を持ってもらったり、第三者の方々と連携することによって、シャレン!(後述)を推進していくことにもつなげていきたい」とお話をいただきました。

岩永修幸さんからは、「地域365日」というキーワードでお話をしてくださいました。試合前のイベントや学校訪問以外にも、川崎フロンターレはお年寄り向けの健康教室や、ヨガ、お父さんお母さん向けのフットサル、地域の方々と一緒にカレーを作ったりと、さまざまな活動を行なっています。

地域の中で自分たちが立っている場所はJリーグの理念で、プロサッカーの試合は、クラブの顔、そして、ボディ(幹)の部分は、スポーツの環境づくりだと考えています。

トップチームの試合が、「非日常の喜び」につながりますが、「日常の喜び」を生み出していくのが、スポーツ事業などを通した地域貢献活動だと考えています。

そして、その結果、儲かる、売上が上がるというよりも、フロンターレと接点を持つ人や地域貢献活動で関わる人が増えると、それは地域の幸せと共存共栄につながるのではないかと。そしてその結果、「このまちにフロンターレがあってよかった」と言ってもらえる、感じてもらうことを目指しています。

川崎フロンターレがやりたいから、ではなく、街(川崎市)が望んでいること、市民の皆さんのためになることを、継続していけるようになることを考え続けていきたい。」という言葉で締めくくっていただきました。

参加者の方からも積極的に質問が飛び交い、和やかな雰囲気で、イベントが進んで行きました。

<質問:地域活動を行なってきて、一番嬉しかったことは?>

岩永さんからは、「地域のコミュニティ」になっていると感じられる瞬間というお話がありました。「このコロナ禍を経て、フットサル場の活動が再開した時に、地域の方から「またここから頑張っていこう」という言葉をもらったことがその象徴的なエピソードで、地域の人たちに支えられながら、活動ができているということを実感できた」

久保田さんからは、「サッカーと関係ない、スポーツと関係なかった人と地域の活動を通して、FC東京を知ってもらって、チケットを購入して来場してくださるようになったり、20年以上続けていると子どもをスタジアムやスクールに連れてきてくれるようになったりする場面に出会うとうれしく感じます」

というお話をいただきました。

これ以外にもたくさんのご質問をいただき、さまざまな視点からゲストの方にご自身のお考えを披露していただきました。

今回テーマにあげた「地域貢献」は、Jリーグ・Jクラブが、Jリーグ社会連携プロジェクト「シャレン!」として推進しています。

<Jリーグ社会連携プロジェクト「シャレン!」はこちらからご覧いただけます。>

シャレン!はサッカーの持つ社会に対しての価値をより深め広げていこうとするプロジェクトですが、今回ゲストの皆さまがお話ししてくださったことも、まさにサッカーの持つ社会的価値で、競技内容やその結果だけにとどまらない、地域をより良く、笑顔にするための取り組みでした。

参加者の皆さまからいただいたアンケートにも、

「時間をかけて地道に地域貢献を行った結果が一定の成果となっていると感じました。」

「両クラブの取り組み等丁寧に説明いただいて大変わかりやすかったです。Jが地域貢献に懸ける熱が伝わってきました」

「日本の各地域を活性化させるのは勿論ですが、それが積み重なっていけば日本サッカーの大きな武器にもなるなと感じました。もっとクラブの取り組み、まちづくりについて知りたいと思いました。」

「目に見える効果は測りづらいものの長期的な関係の構築はクラブ、地域の双方に良い影響をもたらすとわかりました。クラブをうまく使ってもらえるように地域、自治体と連携していく必要があると感じました。」

Jリーグが再開され、Jクラブを身近に感じる日々が戻ってきました。Jクラブは、地域に対して人々が笑顔になるような活動を継続的に行なっています。

ぜひ、各クラブの地域貢献活動にも注目していただければと思います。

ご参加いただいた皆さま、ゲストの皆さま、本当にありがとうございました。