2015.9.11-12/social football COLO 陸前高田スタディツアー:レポート(2nd)


ツアー1日目は小雨のぱらつくぐずついた空模様でしたが、2日目は爽快な秋晴れ。空高く、少し汗ばむほどの太陽にも恵まれ、メインイベントである「グラウンドの視察とお手伝い」へのモチベーションも高まります。

いざ、出発! のその前に、昨晩おじゃました「陸前高田市・川崎フロンターレ協定締結記念式典<リンク>」の様子と宿泊でお世話になった「大船渡温泉」のご紹介です。


■陸前高田市・川崎フロンターレ協定締結記念式典

スタディツアー1日目の最終目的地である式典に参加するため、キャピタルホテル1000(「誓いのホテル」)にやってきました。陸前高田市と川崎フロンターレの協定締結、本当におめでとうございます!

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関係者の方々からのご挨拶、川崎フロンターレ所属選手のメッセージ、そして当選率50%超え(!)のビンゴ大会と大盛りあがりの夜でした。新たなつながりも多く生まれ、今まで関わりのあった方たちとはこの4年半の間であったことや最近の活動の様子などを語り合う場となりました。

震災によって失ったものは数えきれないほど多いけれど、それと同時に、新たに生まれるものもあるのだということを強く感じます。こうして復興に関わっている方々が一同に会することはそうそうないでしょう。ひとつひとつの点が線になっていることを体感することができました。

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陸前高田市のマスコットキャラ「たかたのゆめちゃん」と川崎フロンターレのマスコットキャラ「ふろん太くん」の記念すべき初共演です。

■大船渡温泉
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今回のツアーでお世話になった大船渡温泉ロビーから。“海はきれいなだけではない”ということを忘れるまばゆさでした。

大船渡湾を一望できる絶景と豪快な磯料理、そして癒しの温泉。「また必ず来たい」と思わせる大変魅力的な旅館でした。あたたかなお見送りと開放的な景色に背中を押されるようにして、陸前高田スタディツアー2日目のスタートです!


■りくカフェ
本日1つめの目的地は、「陸前高田まちのリビングプロジェクト」の一環で創られた「りくカフェ」です。

地域の人々が誇りに思える場所・力が湧き出る場所をつくることで、「陸前高田は新しく生まれ変わる」という希望を持ってもらいたい。そんな想いで、自らも被災した地元の医師たち、地域の女性たち、建築・まちづくりの専門家たちが集まって「NPO法人りくカフェ」を設立し、新しい地域づくりを実践しています。

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こじんまりとした可愛らしい店舗に到着。地域の女性たちの明るい笑顔に迎えられました。

向かう途中にある米崎小学校の校庭には、いまだ仮設住宅が並んでいます。遊び場不足の現状をこの目で確認したことで、改めてスポーツグラウンドづくりの意義を強く感じました。

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店舗だけでなく、売られているものすべてが可愛らしいりくカフェ。思わず手に取ってしまうものばかりです。画像にある「たかたのゆめ」は、陸前高田の農業復興を目指してうまれた新興ブランド米です。地元の方のこだわりが詰まったこのお米は、おにぎり協会認定食材の第一号とのこと。パッケージも含め、お土産にもってこいですね!


■スポーツグラウンド・クラブハウス視察
ついに、今回のメインイベントである「スポーツグラウンドの視察・お手伝い」の時間がやってまいりました!

一緒に訪れているコスモスモアのみなさんは、スポーツグラウンドプロジェクトのクラブハウス設計に携わっています。はじめて来る方も多く、「自分たちが関わっているプロジェクトをこうして実感できると感慨深い」と喜んでいただけました。以前訪れたことのあるメンバーも、前回との変化を楽しんでいました。

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クラブハウスに集うコスモスモアのみなさん。住民の方から「ペンキ塗りたてだから気をつけて」と声がかかります。

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グラウンドには、スポーツを楽しむ子どもたちの姿がありました。

実際に利用されている様子をみて、このプロジェクトを始めた加藤久さんの「仲間と共に動き、エネルギーが渦を巻く場所をつくりたい」という想いが実を結び始めているのだと嬉しく思うと同時に、身の引き締まる思いです。ただつくって終わりではない、こうして継続的にかかわり続けることの意義を強く感じました。

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クラブハウス制作にはじめから携わっているメンバーから、はじめて訪れるメンバーへいままでの軌跡が共有されます。クラブハウスが充実していっていることに喜びつつ、「まだまだこれから。この場所はもっとよくできる」とこれからの話に花を咲かせていました。さっそく新しい動きが始まりそうです。

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雑草の取り除き方を教えていただいた松本正弘さん。“根”から取ることがポイントです。

ひととおり思い思いにクラブハウスを楽しんだところで、スポーツグラウンドの雑草除去を行いました。普段はボランティアの方々を募り、朝早くに行っているとのこと。雑草の成長スピードは速く、現状、人手がまったく足りていません。

軍手をはめ、シャベルを片手に、みなさん待望の草むしりのスタートです!

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子どもたちの声をBGMに黙々と作業に打ち込むこと、およそ50分。こちらが本日の収穫です!

「人手不足が切実だからこうして手伝っていただけるだけでありがたい。また来てください」という松本さん。そして、コスモスモアのみなさんからは「まだまだむしり足りない」との声があがりました。次回の視察に向けて、改善の余地がありそうです。

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最後はみんなでサッカーを楽しみました!

晴天の下、一仕事終えたあとにするスポーツは大変きもちのいいものですね。そして、昨日の雨が残る天然芝のグラウンドの上、私服のまま全力でボールを追いかけるみなさんの表情は、とてもいきいきとしていました。やっている側も見ている側も、自然と笑顔があふれるスポーツの力をじんわりと感じる時間です。

まだ設備等の支援が必要なこのグラウンドに、COLOは企業とのマッチングや寄付金集め、復興支援イベントの企画を通じて微力ながら今後もかかわり続けていきます。
また、これまでCOLOを応援してくださった方々にもこの場を借りてお礼申し上げます。みなさんの心が陸前高田の子どもたちの笑顔をつくっています。ありがとうございます。そして、これからも応援よろしくお願いいたします!

さて、スタディツアーも終わりが近づいてきました。第3回のレポートでは、このスポーツグラウンドプロジェクトの現地コーディネーターを担ってくださっている武蔵和敏さんから「被災者のいま」についてお話していただいた様子をお届けします。

“市長と市民の想い”はどう重なるのか――次回をお楽しみに!


文:石川涼子
写真:石川涼子