陸前高田スタディツアー2日目が始まります。
全員で集合写真を撮り、快晴の青空の下、陸前高田スポーツグラウンド・クラブハウスづくりプロジェクトの舞台となった陸前高田のスポーツグラウンドへ向けて出発します。
陸前高田スポーツグラウンド・クラブハウスづくりプロジェクトは、サッカー元日本代表として活躍し、2016年までジュビロ磐田でGMを務めていらっしゃった加藤久さんをプロジェクトリーダーに進めているプロジェクトです。
2015年に完成したクラブハウスは、今回の訪問者であるコスモスモアが設計・企画監修を行いました。social football COLOでは、このプロジェクトに対して、寄付や企業支援・ボランティアのマッチング、訪問ツアーの実施などのお手伝いをしています。
クラブハウスに到着し、クラブハウスができるまでの歴史、過程を映像にて振り返り、スタディツアーとして、陸前高田に来た意味とそのつながりを再確認しました。
2日目のプログラムは、肉体労働を含めたアウトプットが中心です。
2年前にできたクラブハウスも、雨風に晒され、少々痛みが目立つようになってきました。そこで、全員でクラブハウスの隅々まで防腐剤を塗り、地元の方々が使っているクラブハウスを少しでもきれいにすること。
そして、地元の少年サッカーチーム・高田FCの子どもたちとディフェンス・アクションを通じて交流を図ること。
この2つが2日目のメインのプログラムです。
■陸前高田クラブハウス・防腐剤コーティング
当日は、9月だというのに気温が30度にもなる気候だった上に、雲ひとつない青空の下、直射日光を1時間以上も浴びながらの作業となり、なかなかハードな時間となりました笑
枝廣社長を先頭に、総勢27名全員で力を合わせて、クラブハウスに防腐剤を塗っていきます。
汗を流しながら、「腰が痛い」、「膝が痛い」という言葉をこぼしながらも、DIYをやっている感覚で、皆さん、楽しそうに声を掛け合いながら、どんどん塗っていきます。すると、どんどん木材の色が変わっていきます。
目に見えるところだけでなく、ベンチの裏側やテーブルの裏側など見えないところに対しても、一切の妥協はありませんでした。コスモスモアの皆さんの真面目さと職人魂が垣間見えた瞬間でした。
↑防腐剤をコーティングする前とした後
協力しあいながら1時間ほどで全て塗り終わりました。塗る前とは見違えるようにきれいになり、きっと普段クラブハウスを使ってくださっている地元の方もその変わった姿に気づいてくれるはずです。
■ディフェンス・アクション・デフバージョン with 陸前高田の子どもたち
「陸前高田でディフェンス・アクションを行うことに、非常に感慨深さを感じる」
とsocial football COLO代表の荒は言います。
東日本大震災で起こった不幸を繰り返さないために開発された「ディフェンス・アクション」。
それをその開発のきっかけになった陸前高田で行うことの意義。
そういった意義深さを感じながら、まずは高田FCの子どもたちとコスモスモアの社員の皆さんが、一緒にボールを蹴ることによって、交流が深まるように、この時間を楽しんでもらえるようにディフェンス・アクションを行いました。
高田FCの子どもたちと、コスモスモアの社員の方々で作った混合チームが8チーム。
最初にチーム内で自己紹介をして、仲良くなったところでディフェンス・アクションが始まります。
今回行ったディフェンス・アクションはデフバージョンの2つ、
「パス・ザ・ハンドライティング」と「ジェスチャー・パス・リレー」です。
まずはパス・ザ・ハンドライティングから。
パス・ザ・ハンドライティングは、あるお題(言葉)をサッカーボールをパスしながら手書き文字によって、言葉を伝えていくゲームです。
お題は「ようはいりょしゃ(要配慮者)」。子どもたちには少し難しかったかもしれません。
第1走者の子どもたちから、「なにこれー?」「聞いたことないー!」という声が漏れながらも、
パス・ザ・ハンドライティングがスタート。
しかし、やはり言葉が難しかったのか、なかなか進んでいきません。。
「難しいよ!」「問題が悪い!」と言いながらも、
必死に言葉を次の走者に伝えようとする子どもたち、皆さんの姿が印象的でした。
「要配慮者」という言葉の意味を解説し、手書き文字を体験してもらうことで
聴覚障がいの方がいる中での防災面の学びを深めました。
続いて、「ジェスチャー・パス・リレー」。
このゲームは、2人1組で行う、ジェスチャーのみの伝言ゲームです。
問題として出された防災備蓄品に関する言葉を、ジェスチャーで次の走者に伝えていきます。
防災備蓄品として身近なものが多かったため、子どもたちも楽しそうに取り組んでくれました。
「懐中電灯」や「インスタントラーメン」などそれぞれのジェスチャーが創意工夫に溢れ、個性的なジェスチャーで伝言していきます。
結果、ほとんどのチームが全問正解で終えられました。これをきっかけに各家庭でも防災備蓄品の見直しを行なってもらいたいと思います。
全員で1時間弱、ボールを使って楽しんだ後は、それぞれが横1列に整列して、挨拶。まさにサッカーの試合で行われる握手の形式で、全員が全員と握手をし、スポーツグラウンドでの体験を終えました。
社員の皆さんからは「子どもたちに逆に元気をもらった」という声や、
「地元の子どもたちと触れ合う経験ができてよかった」という感想をいただきました。
■「膳」で陸前高田で最後のお食事
スポーツグラウンドで汗を流した後は、「アバッセたかた」という陸前高田に新しくできたショッピングセンターに移動し、昼食をいただきました。訪れた場所は、以前からお世話になっている武蔵和敏さんのお店「膳」。武蔵さんはこの場所にお店を移転して営業をされています。陸前高田での最後の食事、大変美味しくいただきました。
■最後に
あっという間に、2日にわたるプログラムが終了しました。
一ノ関駅に向かうバスの中で、各自このツアーの振り返りを行います。
「戸羽市長の『当たり前のことが当たり前じゃなくなった時の悲しさ・寂しさ』ということが心に刺さった」
「子どもたちと触れ合っている時に、『この子の家族の誰かが、亡くなっているかもしれない』と思うと、無意識に言葉を選んでしまっている自分がいた」
「『被災地の人が恐れていることは、震災や被災地を忘れ去られてしまうこと』といっていた戸羽市長の話が心に残っている」
というさまざまな感想を全員で共有しました。
時間としては2日間と短かったかもしれませんが、全員がとても貴重な体験・経験、濃い時間を過ごしました。
social football COLOも、コンセプトに掲げている「震災復興」と「防災減災」の達成に向けて、
活動の意義を再認識し、さまざまなところで今回のスタディツアーでの学びを生かしていきたいと思います。