11月11日(日)秋晴れの空の下、13回目となるCOLO CUP vol.13「ディフェンス、さぼんなよ。」を開催しました。
2018年は非常に災害の多い1年でした。
4月に起こった島根県西部地震(最大震度5強)、6月には大阪北部地震が発生し、
7月には西日本エリアに甚大な被害をもたらした西日本豪雨災害も起こりました。
9月には、台風21号による暴風・高潮による被害、
さらに北海道でも最大震度7を記録する北海道胆振東部地震の発生と、
日本各地で多くの災害に見舞われました。
改めて、被害に遭われた方にお見舞いを申し上げます。
こういった災害の被災地の復旧・復興に加えて、
被害を最小限に抑える防災の必要性を感じた方も多かったのではないかと思います。
COLO CUPは、「震災復興」と「防災減災」をテーマに、
social football COLO(運営事務局:HITOTOWA INC.)が主宰する
東日本大震災のチャリティフットサルイベントで、
COLO CUPでは参加費は、全額被災地の団体に寄付しており、
前回大会までにその寄付金は総額176万9370円にのぼります。
今回は、「多国籍防災」をテーマに大会を企画しました。
東日本大震災の時の外国籍の方の死亡率は、日本人の2倍だったそうです。
理由としては、地震のほとんどない国の人だと揺れに対してパニックになってしまうこと、
言葉(日本語)がわからない・難しいなどで、適切な避難行動を理解できず、逃げ遅れてしまった、
というようなことが原因だと考えられています。
観光客が2400万人を超えた日本、かつ災害大国の日本で、
不幸にも被災してしまう外国の方は今後も出てくると思います。
そんな時に、パニックになる外国の方を日本人が助けた!という素敵な話が様々なところで起きるよう、
COLO CUPがひとつのきっかけになることができればと想い、今回のテーマを選びました。
前置きが長くなりましたが、COLO CUP vol.13レポートのスタートです!
■ゲスト 小倉隆史さんのご紹介
COLO CUP vol.13のゲストは、元名古屋グランパスエイトで監督兼GMを務められた
小倉隆史さんにご出演いただきました。
小倉さんは、高校時代から、すでにその視線は海外で活躍することにあり、
1993年にオランダ・エクセルシオールにレンタル移籍。
シーズン途中での加入にもかかわらず、リーグ得点王を争い、弱冠20歳で日本代表に選ばれ、
その4年後にW杯を初制覇するフランス相手に代表初ゴールを記録するなど、大活躍されました。
引退後もテレビや解説者としてご活躍されているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
そんな小倉さんを迎え、COLO CUP vol.13をスタートしました。
■ウォーミングアップ×ディフェンス・アクション「First Action」
First Actionでは防災が起きてすぐにやるべき「初期行動」について学びながら、
ウォーミングアップと参加者同士のコミュニケーション促進を狙います。
ルールはいたって簡単。
ジョギングをしながら、スタッフが提示する「3種類+数字のカード」に合わせた行動をします。
【津波】急いで反対側のコートに逃げる(コートの反対側を高台と想定)
【火災】口鼻を塞いで姿勢を低くしながらコートの外に逃げる(コートの外を安全な場所と想定)
【地震】頭と目を守ってその場にしゃがむ
【数字】かかれた数字の人数でグループをつくる。
特に、数字が書かれたパネルの時には、グラウンドの至るところから、
「あと一人!」「こっち来い!」といった声が上がり、とても盛り上がります。
災害パネルが上がった際も、瞬時に適切な初期行動をとってくださる方が多く、
お子様だけでなく、大人でも楽しみながら、体をほぐし、温めました。
■ゲストトレーニング
First Actionで体が温まった後は、早速ゲストの小倉さんによるゲストトレーニングを行いました。
最初に行うトレーニングは、サッカーの基本「トラップ」と「パス」です。
小倉さんからは、
「サッカーは蹴ることに主眼が置かれがちですが、
それよりもまずちゃんと自分の意図したところに止めることが最も大事」
という解説を受けた後、チームで円になってボール回しを行います。
最初は、1つのボールでやっていましたが、徐々にルール・制限が増えて行きます。
・ボールが1つ増えて2つで行う
・相手の名前を呼んでからパスを出す
・自分の名前を言ってからパスを出す
など、体だけでなく、頭もフル回転させながらトレーニングを行います。
小倉さんからも
「どれだけ頭を使って、質の高いプレー・トレーニングができるかが大事」
「闇雲に頑張るだけでは絶対にダメ」
というお話もいただき、笑い声も漏れながらも皆さん真剣に取り組んでいました。
■多国籍防災×ディフェンス・アクション「TSUNAMI Tenden-GO」
小倉さんのゲストトレーニングに続いて、
TSUNAMI Tenden-GOという今回初お披露目のディフェンス・アクションを行いました。
「津波てんでんこ」という言葉を聞いたことはありますか?
この言葉は、古くから東北地方に伝わる言い伝えで、
「津波が起こった時には、それぞれがてんでバラバラに、一目散に高台に逃げる」ことを伝える言葉です。
東日本大震災の際の津波でも、
自分の子どもを迎えに行って、もしくは探しに行って、不幸にも津波に巻き込まれた方がいらっしゃいました。
たとえ自分の子どもや親族が津波に巻き込まれているかもしれないと心配・不安になっても、
ちゃんと必ず自主避難できている、と信じ、自分も避難することが、
結果として多くの命を救うということを伝えています。
そんな意味を持つ、TSUNAMI Tenden-GOは
サッカーの学びは、2人一組で行うワンツーパスの練習、
防災は、津波警報をしっかり聞く、という学び、
多国籍の学びは、津波警報の内容を日本語がわからない人に周りの日本人がちゃんと伝える、という学びです。
パス練習をおこなっている時に、ホイッスルが鳴ります。
プレーを止めて、津波警報を静かに待ちます。
「津波が来ません」とアナウンスされれば、その場でパス練習を続けます。
「津波が来ます」という警報が聞こえたら、全員で「てんでんゴー」と言いながら、
一目散に反対側のコート(高台)に向かって逃げます。
災害などの緊急時は、こういったアナウンスをしっかり聞いて、
それを踏まえて行動することがとても重要です。
ただ、多くが日本語の音声アナウンスなので、日本語を理解できない外国籍の方や、聴覚障がいの方にとっては、
何がアナウンスされているのかを理解するのがとても難しいということも知っておくことが大事です。
アナウンスの重要性を認識した上で、
周りに対して気を配ることができるようになる、そんな気づきを得るTSUNAMI Tenden-GOでした。
■多国籍防災×ディフェンス・アクション「Gesture Pass Relay」
COLO CUP vol.13、最後のディフェンス・アクションは、Gesture Pass Relay(ジェスチャー・パス・リレー)です。
サッカーの学びは、2人組で行うパス練習。
防災の学びは、避難所におけるルールやコミュニケーションを知ること。
そして、多国籍の学びは、言葉が通じなくてもコミュニケーションが取れるということを知ることでした。
観光客や外国籍在住者が増えている日本において、
多くの外国籍の方々が災害に巻き込まれ、避難所に避難するというケースも増えています。
ただ、文化的背景などの違いから、周りの方々との避難(共同)生活がうまくいかず、
避難所を後にしてしまう外国籍の方がいることも事実で、
そういった現実に起こっている避難所における問題を知っていただくことも目的の一つでした。
ディフェンス・アクションのルールは、いわゆるジェスチャー伝言ゲームで、
言葉を使わずに、避難所運営者が伝えたい「避難所におけるルール」や「避難所での情報発信」を伝えていきます。
例えば、
「炊き出しが始まりました」ということを、外国籍の方にどう伝えますか?
英語が使える方であれば、「Serving of hot meal has started」と伝えれば意思疎通は図れますが、
避難所運営者が英語が使えない、もしくは母国語が英語でない外国籍の方に
この情報を伝えるのはとても大変だと思います。
※写真は、「トイレは今流せません」のお題
ただ、言葉が通じないからといって、そこで諦めるのではなく、
ジェスチャーを使って、なんとか意思疎通を図ろうとすることが大事です。
みなさん、お題をなんとかして伝えようと、ジェスチャーを工夫して、
時に笑い声に包まれつつ、5つのお題をクリアしていきました。
ちなみに、今回は、避難所運営者が伝えたい「避難所におけるルール」や
「避難所での情報発信」というお題で行いましたが、
一方で、避難して来た外国籍の方が、「お祈りの場所を確保してもらえないか」や
「この炊き出しには宗教上NGとされている食物が入っていないかを確認したい」など、
運営者に伝えたいこともあります。
そういった多様な意見を集約していくのは難しいですが、
災害という不幸な状況をより不幸にしないための心構えや気配りをしていきたいと全員で改めて確認をしました。
■寄付金のお知らせ
東日本大震災のチャリティとして行なっているCOLO CUP。
今大会は、54名の方にご参加頂き、social football COLOが支援している、
「一般社団法人 復興応援団」「陸前高田スポーツグラウンドプロジェクト」「サッカーの聖地 Jヴィレッジ」の3団体合わせて、
総額10万4500円のお金を寄付させていただくことになりました。
金銭的な支援に加えて、東日本大震災を忘れない、東北復興を継続的に願う、ということも
大事な被災地支援活動だと考えています。
何事も興味が失われてしまうと風化がどんどん進んでしまいます。
甚大な被害をもたらした東日本大震災からもう7年経ちますが、どの地域も復興はまだ道半ばです。
より多くの方に「震災復興」への思いを持っていただきつつ、
「防災減災」というsocial football COLOの2つのテーマを持って
活動に邁進していきたいと思っています。
ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました!
[参画企業(50音順)]
・株式会社アズパートナーズ 様
・株式会社TRコンサルティング 様
[撮影]千葉 愛子
[文責]津村 翔士