2015.9.13/PEP Kids Koriyama(ペップキッズこおりやま)視察:レポート


被災地で大きな問題となっている子どもたちの「遊び場不足」――。

陸前高田スタディツアーに引き続き訪れた福島県では、放射線によって外で自由に遊べない子どもたちの肥満や体力低下などが問題となっています。今回は、一筋縄ではいかないその問題を解決しようと奮闘する株式会社Plainovation代表およびNPO法人郡山ペップ子育てネットワーク企画部長の菅家元志さんに“福島の子どもたちのいま”と“これから取り組みたいこと”をお伺いしてきました。

菅家さんの案内で視察に訪れたのは、COLO CUPの寄付先のひとつであるPlainovationが運営に関わっている『PEP Kids Koriyama』。子どもの健やかな成長のために考え抜かれた「場づくりのしかけ」と「コンテンツ」は必見です!


■郡山市元気な遊びのひろばPEP Kids Koriyama(ペップキッズこおりやま)
ペップキッズこおりやまは郡山市委託事業としてNPO法人郡山ペップ子育てネットワークが運営を行っている施設です。

ペップキッズこおりやま(以下、ペップキッズ)に到着! ポップな外観にはじめて訪れるCOLOメンバーは早くもハイテンションに。

ペップキッズこおりやま(以下、ペップキッズ)に到着! ポップな外観にはじめて訪れるCOLOメンバーは早くもハイテンションに。

当日(15/9/13)の放射線量は0.096マイクロシーベルト。受付には、ここで測定された値が毎日掲示されています。

当日(15/9/13)の放射線量は0.096マイクロシーベルト。受付には、ここで測定された値が毎日掲示されています。

「遊び・学び・育つ」をコンセプトとした『PEP Kids Koriyama』は、「郡山の子どもたちを日本一元気に!」することを目標に運営されているとのこと。2011年12月にオープンし、東北最大級の屋内遊び場として市内外のファミリーから愛され、今年で4周年を迎えます。そんなペップキッズの年間来場者数は約30万人、リピート率は約75%にも上ります。

そのように多くの人に愛される理由は、中に入ってみれば一目瞭然でした。

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6~18ヶ月の赤ちゃん限定の「ベビースペース」や70平方メートルもの「砂場」。

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かけっこできる「ランニングスペース」や充実の「アスレチック」と「ボールプール」。

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そして、大人も思わず手に取って遊びだしたくなるモノの数々。

できるだけ多くの方に利用してもらえるようにと入れ替え制を取っているペップキッズ。ちょうど入れ替えのときに施設案内をしていただきました。

写真のようなスペースの数々のほかに三輪車のサーキットなどもあり、それらをまとめて「ペップアクティブ」と呼んでいます。全体的にポップでカラフルな雰囲気のペップアクティブは、見ているだけで楽しく、いるだけでもワクワクしてくるような空間でした。

「どうしたら子どもたちに楽しんでもらえるかをずっと考えていました」と菅家さんはいいます。遊びたい盛りの子どもがずっと家にいると否応なしにストレスがたまり、家であり余るエネルギーを爆発させる子どもに親もストレスを抱えるという悪循環も現実に存在しています。

「子どもが楽しければ親も楽しい」。まるでテーマパークのようなひとつの世界観をもった“場づくり”と育ちに必要な遊びの“コンテンツ”、そしてそれを支える“プレイリーダー”という存在が、ペップキッズが親子ともに愛される理由だろうと感じました。

ペップキッズで行われる様々なイベントの説明をする菅家さん。当日は「食育ハーモニー(どんなお弁当にしようかな)」が行われていました!

ペップキッズで行われる様々なイベントの説明をする菅家さん。当日は「食育ハーモニー(どんなお弁当にしようかな)」が行われていました!

イベント「食育ハーモニー(どんなお弁当にしようかな)」の様子。

イベント「食育ハーモニー(どんなお弁当にしようかな)」の様子。

ペップアクティブを抜け、そろそろとセミナー室におじゃましてお弁当づくりの様子を見学させていただきました。どんなお弁当がいいんだろう? 先生のお話を聞いたあとに“おりがみでできたおかず”をお弁当に詰めていきます。

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ブロッコリーやトマト、にんじんとアスパラガスのベーコン巻き、エビフライにハンバーグといった多種類のおかずが用意されていました。

こういった食育セミナーのほかに、ペップキッズでは「ペップキッチン」と呼ばれる大きなキッチンスペースがあり、そこでは生きる基本である「食べる」ことの大切さや「作る」楽しさを、実際に料理をしながら学べます。一回のクラスで食育講座から調理実習、試食までを行えるとのことです。

セミナー室から帰ってくると次の利用者の方々が広場に集まっていました。子どもたちの“遊び”を支える「プレイリーダー」からペップキッズでの遊び方などが伝えられます。

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残念ながら、ここでペップキッズ見学は終わりとなりました。まだまだ見ていたいどころか、全力で遊びたい気持ちをごまかしつつその場を後にします。

ペップキッズ見学の感想の共有をひととおり終えた移動中の車内では、これからの話に花が咲きました。「子どもたちにとっての遊びは、身体的な成長の時間でもあり、精神・知識的な学びの時間でもあります。そんな大切な遊びが自由にできない現状を変えたいんです」といっていた菅家さん。その想いは福島だけに留まりません。

福島に結集した日本全国の子育て・子育ちに関する知識やノウハウを福島から日本全国へ。これからは、子育てに関する様々な情報をオンライン上で動画配信することで、初めての子育てを総合的に応援する『PEP Kids School』というサービスに力を入れていきたいとのことです。

これからも福島県出身の社会起業家である菅家元志さんを応援することで、福島、果ては日本全国の子どもたちの笑顔のキッカケをつくっていきたい。COLO CUPでの寄付集めなどを通じて微力ながら今後もかかわり続けていきます。

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見学後、福島ユナイテッドFC vs AC長野パルセイロのゲームがあったのでみんなで観戦を楽しみました! サポーターののぼりがユニークで思わずぱしゃり。

COLOは、social footballを通じて東北に寄り添い、より多くのと人と学びながら共に進んでいける存在であり続けます。

ご拝読ありがとうございました!

文:石川涼子
写真:石川涼子