2015.1.15 / 陸前高田スポーツグラウンドづくりプロジェクト:クラブハウス寄贈式レポート


2015年1月15日に行われた陸前高田プロジェクトのクラブハウス寄贈式の様子をお届けします。

2015年1月15日。
陸前高田スポーツグラウンドづくりプロジェクトメンバーを中心に
地元の方々と力を合わせて建設をすすめていたクラブハウス。
そのクラブハウスを市に寄贈するため、陸前高田を訪問しました。

陸前高田スポーツグラウンドづくりプロジェクトは、
津波の被害もあった陸前高田市気仙町の上長部地区で
グラウンドづくりをすすめてきました。

2012年は瓦礫撤去とグラウンドの芝生化を行い、
2013年には鹿よけのネットフェンスの設置を行いました。

そして2014年からはsocial football COLOもプロジェクトに加わり、
シャワーブースや水洗トイレ、応援に来た親御さんもくつろげる場所をつくるため、
クラブハウスの建設を進めてきました。

このグラウンドは近隣の小学校の仮設グラウンドで、市が管理しています。
そのため、完成したクラブハウスは市に寄贈し、
地域の方々も使用できるスペースとして活用されることになっています。

この日、プロジェクトリーダーの加藤久さんをはじめとするプロジェクトメンバー、
そしてチャリティイベントを主催してくださった
SAWA and Friends in New Year’s Night 2014を代表して
川澄奈穂美さん、田中明日菜さん(INAC神戸レオネッサ所属)らが現地入りしました。

social football COLO事務局の荒昌史と髙村和明も
プロジェクトメンバーの一員として同行させていただきました。

※  SAWA and Friends in New Year’s Night 2014:澤穂希さん(INAC神戸レオネッサ所属)をはじめとする、なでしこJAPANの選手、サッカー界から多くのOB、そしてGAKU-MCさんやナオト・インティライミさんらが参加したチャリティイベント。

 

この日は、まず陸前高田第一中学校を訪問しました。
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陸前高田第一中学校サッカー部との記念写真。
お昼休みに入り他の生徒も集まりはじめ、
川澄さん、田中さんの来校に、
子ども達だけでなく先生方にも笑顔があふれます。
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加藤久さんとの再会を喜ぶ生徒の姿を見て、
継続的に現地を訪れることの重要性をあらためて感じました。

 


生徒との写真撮影と交流を終え、寄贈式の会場である陸前高田市役所へ向かいます。
甚大な津波の被害がでた陸前高田では、市役所も津波の被害を受けました。
4年が経過する現在も、市庁舎は仮設となっています。

戸羽市長をはじめ、久保田副市長、山田教育長に
目録および確認申請図面一式をお渡しさせていただきました。
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戸羽市長からは「子どもたちのなかには”ただかけっこがしたい”と言う子がまだたくさんいるほどスポーツをする場所がない。大変ありがたいし、復興に向けてさらにがんばりたい。」というお話を伺いました。
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仮設住宅の多くが学校の校庭にある陸前高田市において、スポーツができる広いグラウンドは貴重な場所とのこと。今回クラブハウスができたことで、この広いグラウンドが今まで以上に活用されることを願うばかりです。


その後、上長部グラウンドに移動し川澄さん、田中さんによるサッカー教室が行われました。この時期はまだ小学校は冬休みということで、グラウンドには多くの小学生が集まってくれました。

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お二人からの簡単な自己紹介のあと、早速試合がスタート。
芝生のグラウンドで、なでしこジャパンでも活躍する
川澄さん・田中さんとサッカーができるなんて・・・
と大人は思ってしまうのですが、子どもたちは違います。

いつもと変わらぬ様子で、
お二人にボールを集めることもなく、
子どもたちはゴールを目指します。

「プレー中は、大人も子ども、プロもアマも関係なし!」
といった具合に、芝生のグラウンドでの
サッカーを純粋に楽しんでいました。

年齢の垣根をこえて、
一個のボールを通じて触れ合うその光景は、
まさにサッカーの魅力そのもの。

見ている私たちの心も温まる瞬間でした。

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さて、ここでクラブハウスの建物のご紹介を。
クラブハウスの建築費用は主に寄付によってまかなわれています。
設計・施工は地元の設計事務所・建設会社につくっていただきました。
木造平屋建ての建物は、周辺の木々にも溶け込むように外装材にも木材を使用しています。
そしてグラウンドにむかって大きくせり出すウッドデッキが特徴です。
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木材は地元材も使用し、
バイオトイレやソーラーパネルも設置。
また、照明器具やシステムキッチンなどは、
マンションのモデルルームの廃材を流用するなど、
環境配慮型の建物になっています。
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建物内部は総スギ板張り。
スギ材の香りが漂い心地よい空間です。

シャワールームや小部屋もあり、
靴を脱がずに入れるトイレも完備しています。

多くの人が集えるようホール部分にはキッチンを設置し、
サッシュを解放すれば、ウッドデッキとつながった
より開放的な空間としても使うことが可能です。

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また、建設会社さんからペレットストーブが寄贈され、
冬場も本当に暖かいクラブハウスになっています。
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陸前高田市は、冬場に雪があまり積もらない地域で、
冬場のサッカー合宿地として内陸から多くのチームも訪れる場所です。
芝生のグラウンドは、霜柱ができることもなく、
冬場でもしっかりとプレーできます。

寒さも凌ぐことができるこのクラブハウスの完成によって、
より多くのサッカーチームが、
この地を訪れるようになることを期待しています。


こうして一つの区切りを迎えた陸前高田クラブハウスづくりプロジェクト。
しかし、これで終わったわけではありません。

震災から4年が経過しましたが、
現地は、今なお復興への困難な道を歩み続けています。
現地のニーズも多様化し、その地にあった支援の形が求められています。

今回の訪問でお会いした高田FCの監督からも、
「照明」や「製氷機」などの設備や、
「ジュニアコートが4面とれるようにグラウンドを拡張したい」
といった新しいニーズも伺いました。

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“サッカーファミリー”という言葉がありますが、
このグラウンドやクラブハウスをはじめ様々な場所で、
日本サッカー協会、Jリーグ、現役・OBOG選手など、
サッカー界の様々な方々が、東日本大震災からの復興に携わっています。
social football COLOも、サッカーファミリーの一員として、
引き続き復興支援に携わっていきます。
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文責:髙村和明